WRCマシンの車両規定が変わったことで、ブレーキシステムにも影響が及びます。新型マシンでは最高出力が80馬力も増え約380馬力まで上がっています。
パワーの増加に伴って車幅も広くなりました。リアウィングやフロントバンパーに加え、リアディフューザーまでも大型化させて対応しています。当然、コーナリングのスピードアップは必至です。
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馬力とグリップが上がれば、ブレーキシステムにかかる負荷は確実に増加します。メーカーの要望を受けて、レギュレーションでまずはターマック(舗装路)コースに限り370mm径のブレーキディスクの使用が認められました。ちなみに2016年までは最大径は355mmでした。
しかし、ブレーキがパワーアップするということは、過熱の危険性も高まります。そこでマシンの各メーカーは、フロントの吸気ダクトに改良を加えるとともに、新たにリアにも吸気ダクトを採用するなどの対策をとっています。ブレーキディスクとキャリパーの冷却に要する正確な空気量のデータを各チームに提供する立場にあったのがまさにブレンボです。
液冷システムについては、賛成論と反対論を慎重に検討した結果、採用が見送られました。専門家は、このシステムではキャリパーと関連パーツ類の重量が増え、万が一マスターシリンダーが損傷した場合に安全が担保できないと判断しています。
ブレンボの技術者も、温度制御は吸気ダクトで可能との見解を示しています。