誰もが欲しがるブレーキフルードリザーバータンクカバー:本当の役割は?

2019/05/16

MotoGPヘレスGP:アレックス・リンスのスズキのマシンからブレンボ製ブレーキフルードリザーバータンクカバーを持ち去ろうとしてレーススタッフが現行犯で取り押さえられる事件が発生

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​


 

モータースポーツファンなら、ひいきの選手やチームを観に行った記念にその印を何か一つ持って帰りたいと誰もが思うはず。写真を1枚撮れれば満足する人もいれば、憧れの選手と一緒に自撮りできたラッキーな人もいるでしょう。しかし、なかには熱狂のあまり我を忘れて他人のモノを奪う人もいます。​

2010年MotoGPミザノGPでのことでした。ウィニングラン中にサーキット内にファンがどっと流れ込み、そのうちの一人がヴァレンティーノ・ロッシ(3着)のヤマハのマシンに近づくと、サドルの後ろに搭載されていたジャイロスコープカメラを抜き取ったのです。この盗みの行為は後にロッシのメカニクスの一人がツイッターに投稿して明るみに出ました。​

つい数日前には、あるレーススタッフによる別の窃盗事件が起こりました。今回の現場は、ヘレス・サーキット - アンヘル・ニエトで開催されたスペインGPです。ブレンボ製ブレーキ搭載のマシンがプレミアクラスで果たした勝利が連続400回目となったグランプリです。(そのうち300回は2002年から始まったMotoGPでの優勝、100回はその前の500ccクラスでの優勝です。)​


 

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

犯行​

ヘレス・サーキットのフィニッシュラインを2着で通過したアレックス・リンスは、ファンと喜びを分かち合おうと、コース脇に自身のスズキGSX-RRを停めてスタッフに預けました。まさかそのスタッフがこの機を逃すまいとブレーキフルードリザーバータンクのカバーを外して素早くポケットにねじ込むなどとはリンスは夢にも思わなかったでしょう。しかし、盗んだ本人にはアンラッキーなことに、その犯行の一部始終が、リンスのヘルメット方向に向けられた車載カメラに記録されていました。窃盗マニアを自称するこの犯人は、その後スズキのピットに駆け込み、盗んだものを返して謝罪しました。​​​​​


 

カバーの目的​

​このスタッフは、ブレーキフルードリザーバータンクのカバーを盗んで、自分のバイクに装着して使えていたかもしれません。このカバーは伸縮素材でできていて、公道仕様車も含め、ほとんどのバイクのブレーキフルードリザーバータンクに取り付けることができるのです。​
 

テレビ中継で車載カメラに切り替えた際の映像などで皆さんはすでにお気づきだと思いますが、MotoGP、Moto2、Moto3、スーパーバイク選手権の選手はほとんどが、マシンのブレーキフルードリザーバータンクに、ブレンボのロゴのついたカバーをかぶせています。これは単に見栄え目的でやっているのでしょうか?全く違います。説明しましょう。​


 

皆さんがよくご存知の機能​

ブレンボのカバーは、機能上の役割を確かに担ってはいますが、パーツとしては非常にシンプルです。これと対極にあるのが、ブレンボが製造する最先端技術の製品、たとえばカーボンセラミックディスクやアルミニウム製モノブロックラジアルマウントキャリパーなど、MotoGPクラスの選手全員が使用している高性能のブレーキパーツです。これらはブレンボの技術的研究から得られた最先端の成果を結集させたものですが、カバーの場合は、極めて単純なパーツとしか言いようがありません。​

まず、カバーの一番の目的は、何かのきっかけでブレーキフルードが漏れるのを防ぐことにあります。ブレーキフルードは腐食性が強いため、1滴漏れただけでもカウルやヘルメットのバイザーを傷め、選手の視界やマシン構造の完全性を損なうことがあります。​

マシンの振動や急カーブでのマシンの傾きでリザーバータンクのキャップからフルードが漏れ出ることが決してないように、リザーバータンクにカバーをかぶせてブレーキフルードを完全に封じ込めることによって、カウルのウィンドスクリーンやヘルメットのバイザーあるいはその周囲の車載パーツが汚れないようにしています。​


 


​ 
​​

 

あまり知られていない機能​

 

カバーを使うことにはもう一つ重要な役割があります。ブレーキフルードの量が徐々に減ってくると、外気中の水分を吸収する可能性が高くなります。水分を吸収すると、ブレーキが効き始めるまでのレバー操作が長くなり制動性能が低下してしまいます。​

 

 


​作り話と誤解​

ブログやフォーラム、またSNSなどでは、多くの記事が、カバーの目的について、ブレーキフルードが直射日光で熱せられて化学的・物理的特性が低下するのを防ぐためでもある、としています。​


 

しかし、これには基本的な事実の認識が2つ欠けています。まず、ブレンボがMotoGPとスーパーバイクの有力チームに供給しているブレーキフルードは、動作温度が約-40℃~200℃と幅広く、沸点が極めて高くなっています。日光による数度の温度上昇の影響は無視していいレベルです。​


 

また、ブレンボのブレーキフルードには、光感応、つまり光が直接当たることで劣化する特性はありません。ただし、吸湿性は非常に強く、空気中の水分を吸収しやすい性質があります。そのため、使用寿命は短く、頻繁な交換が必要です。​


 

​カバーを入手するには​

ブレンボのカバーがなぜ必要なのかがおわかりいただけたところで、皆さんに良い知らせと悪い知らせがあります。ブレンボのカバーは、残念ながら非売品*です。でも、だからといってあきらめないでください。ブレンボでは毎年カバーを数千個製造し、プロの選手に供給しているほか、ブレンボの取扱店にも配布しています。取扱店では、ブレンボ製品をいつもお買い上げ下さるお得意様に、景品として差し上げています。​

カバーのことがわかった皆さん、次回皆さんが最寄りのブレンボ製品取扱店​ (ブレンボ製品の正規取扱店の一覧参照​​) でブレンボのバイクパーツをご購入になる際には、お店の人に、カバーも欲しいと伝えてください。たとえばブレンボ製RCSコルサコルタのご購入。これはレバーレシオとブレーキレスポンスの両方が調節できる唯一のマスターシリンダーで、使う人のライディングスタイルを根底から一新するような画期的な製品ですが、こうした製品を新たにご購入の際には、このカバーを1個手にしていただくことができます。自分のものにしたくなるほど人からうらやましがられること間違いなしです。​


 


 

(*) 販売店もしくは販売サイトによっては、販促品用のカバーを単品として販売している場合があります。​

ブレンボは販売ネットワークである「バイクコマーシャルパートナーズ」と、専門パーツ取扱店である「ブレンボレーシングポイント」を、世界各国に展開しています。​

ブレンボレーシングポイントはブレンボが選定・認可した取扱店です。ブレンボ製品の販売のほか、装着にあたって専門スタッフによるアシストや技術的なサポートを行っています。​

バイクコマーシャルパートナーズは、ブレンボ製品の正規販売店であり、幅広い小売ネットワークを通じてブレンボ製品を販売しています。​

ブレンボ製品はブレンボレーシングポイントでお買い求めになることをお勧めします。ブレンボレーシングポイントの所在地がわからない場合は、お住まいの地域のバイクコマーシャルパートナーズにお問い合わせください。最寄りの所在地をお知らせいたします。​

 

​​

 
 

​​​​

​​

Brembo S.p.A. | P.IVA 00222620163

Follow us

Follow us on FacebookTwitterYouTubeLinkedIngoogle_plus.jpgPinterestInstagramVineYoukuWeibosnapchat.pngwechat.png