2017/07/18
夏休みを迎え、好きな行楽地へドライブに出かけるご家族も多いはず。目的地が海であれ山であれ、あるいは街であれ、出かける前にはブレーキが万全かを点検しておくと安心です。 そこで、ブレンボは、ブレーキシステムのメンテナンスに関する5項目の疑問に回答をご用意しました。季節を問わず役に立つ情報ですが、特に遠出の前には必見です。
その差は単純に数値で示すことはできません。摩擦を受けるパーツの摩耗状況、ブレーキシステムのタイプやサイズ、車種といった数多くの要因によって異なるからです。摩耗が原因で効力が低下したパーツがあると、車を運転する人はたいていそれを補おうとして自然とドライビングスタイルを変えたりブレーキのかけかたを調整したりします。 これは誰もが自分では意識せず行っている反応です。通常時のブレーキングなら、この反応によって、ブレーキシステムの効力の低下分は少なくとも部分的には埋めることができます。ところが、(山間部の坂道など)過酷な状況でのブレーキングや急ブレーキでは、ブレーキシステム自体の全制動力が必要です。制動時に発生した熱を効率よく放散できるかどうかはブレーキの性能全体にかかっているからです。摩耗が進んだブレーキが、良好な状態と比べてその能力の限界を露呈しやすくなるのは、特にこうした状況なのです。 ブレーキパッドは減りが早く、ディスクが摩耗していればパッドの劣化も生じます。逆に、パッドが摩耗している場合もディスクに同様のことが起こりますのでご注意ください。 パーツに関しては、比較的新しいうちは、摩耗が進んだ状態と比べるとそれほど摩耗は進みません。システム全体がかなり摩耗してしまうと、温度上昇が著しくなり、それがもとで数々のトラブルが生じます。
2) ディスクが限界かどうかはどうやってチェックしたらいいですか?ブレーキシステムの効きのテストは残念ながら簡単ではありません。ただ、手軽にできる方法として、パーツを定期的に点検することをお勧めします。 推奨する点検頻度は15,000~20,000キロ走行ごとですが、振動を感じた際はすぐに行ってください。ディスクやパッドが摩耗・劣化すると、おもに次のような兆候が現れます。 • ウェアインジケータの警告(機能付きのパッドの場合。摩耗検知の対象はパッドのみです。) • ブレーキ時の異音 • 振動 • ディスクの制動面の同心円状のスジや放射状の亀裂 • 過熱現象 場合によっては、ブレーキフルードのレベルがディスクやパッドが摩耗しているかどうかの判断材料になることもあります。 パッドやディスクが摩耗していると、そのすり減った分だけブレーキキャリパーのピストンの動きが深くなり、ブレーキフルードが入り込む量が増えるためレベルが下がってきます。
3) ディスクの縁に、溶けたパッドのかすのような黒いものがついていることがあるのですが、これは何でしょうか?パッドの質が悪いせいですか?摩耗が進んだ証拠ですか? ブレーキングですり減った摩擦材です。パッドの質の悪さや急ブレーキによるものではありません。まさに摩耗材がすり減った結果そのものです。
4) パッドを交換したら一緒にディスクも交換するべきという話をよく聞きますが、本当ですか?ディスクを交換した際は、必ずパッドも交換する必要があります。一方、パッドは、ディスクの交換時でなくても交換ができます。ディスクがそれほど摩耗していない場合、つまりディスクの厚みが、メーカーごとにディスクの外径上に示した最低限度まで減っていなくても、パッドは交換が可能です。 パッドはディスクに比べて摩耗が早く進みます。通常、パッド1組の寿命はディスク1枚の半分程度ですので、交換の頻度はおおむね2:1を目安にすればよいでしょう。
5) ブレーキキャリパーの交換の必要性と交換時期を教えてください。 ブレーキキャリパーやブレーキシステム内のその他の油圧系パーツ(ホース、ブレーキシリンダー、マスターシリンダーなど)を交換する必要性は、摩耗が原因ではなく、劣化あるいは事故などによる偶発的な故障が関係します。 交換が必要になった場合は、ブレンボでは、どのブレーキキャリパーも新品に交換する代わりにリジェネレイト(再生)することをお勧めしています。もちろん品質と安全性は新品と同等です。
ブレーキキャリパーのリジェネレイトは、純正品の当初の製造時と全く同じ厳しい技術基準を全工程に適用して行います。具体的には、キャリパーの汚れを落とし、摩耗や劣化が起こりやすい内部パーツをすべて完全に新しいものに交換します。その後、表面に防触コーティング剤で保護を施し、一連の性能テストを実施して完璧に動作することを確認します。 ブレンボが行うこのブレーキキャリパーのリジェネレイトは、経済的でかつ信頼性が高く、そのうえ生態系にも配慮した選択肢です。環境への負荷低減をベースとしたブレンボの基本方針の一環として実施するもので、この独自の取り組みを通じてキャリパー本体の再生利用を実現しています。