ブレンボ:MotoGPのブレーキングの秘密(その2)

2016/05/11

カーボンブレーキディスクの動作温度を選手たちはどう活用しているのでしょうか。ブレンボのMotoGP担当カスタマーマネジャーが関連情報も交えてお答えします。

2014年、ドルナとIRTAは340mmブレーキディスクの使用を許可しました。これを要請したのは、320mmディスクによるライダーの安全性へのリスク(前の記事を参照)を主張してきたブレンボです。340mmディスクの採用でライダーのブレーキングはどう変わったのか、ブレンボのMotoGP担当カスタマーマネジャーであるロレンツォ・ボルトロット氏が解説してくれました。


 

320mmから340mmへの移行が最もスムーズだったのは誰ですか?ブレーキが遅いライダーですか?

 

「実際のところ誰でもないですね。というのは、カル・クラッチローのように初期制動が強めでその後すぐに緩めるライダーもいれば、アンドレア・ドヴィツィオーゾのように初期制動が強めでも徐々に緩めるライダーもいます。

 

ヴァレンティーノ・ロッシやマルク・マルケスもこのタイプですね。また、激しいブレーキングはめったにしないライダーにダニ・ペドロサとホルヘ・ロレンソがいますが、この二人は強いブレーキを使わずコーナーを非常に速く抜けます。

 

ブレーキコントロールはスタイルがさまざまなので、どれがいいとは一概には言えません。

 

ライダーの数だけスタイルがあるというのが事実です。

 

ブレーキレバーに何本指をかけるかもそれぞれですし、初期制動を強くしてすぐ緩めるか、あるいはかけ方も緩め方も穏やかなのかも、ライダーごとに違います。」

 

><span id='ms-rterangeselectionplaceholder-end'></span>  </div>         <div class=
 

いまおっしゃった3つのスタイルのうち、ブレンボとして「好ましい」というのはありますか?


「ないですね。カーボンの摩擦係数が性能を発揮するのは200度から800度ですので、ライダーのスタイル次第です。ひとつ付け加えますと、システムの開発段階で我々は、ディスクの冷却に熱心に取り組んでおられるチームの方々から多くのご協力をいただきました。ディスクの空冷性を上げるためフェンダーの形状が変わりました。」


 

O安全性の面がクリアできて、あとはパフォーマンス面ということになりますが。

                 

「そのとおりです。340mmディスクでは、MotoGPのライダーにとってブレーキ時や路面の状況が不利なときに活用できるブレーキトルクの余裕ができます。ここで申し上げておきたいのは、340mmディスクでは、ライダーがすぐ慣れたとしてもブレーキの緩め方は難しくなったということです。」

                                                    

 

 

どう変わったのですか?

「340mmディスクでは、320mmディスクに比べて初期制動が強くなっています。もちろんこれ自体が問題ではありませんが、そのあとライダーたちはコーナー上でもブレーキを弱めがちになるのです。つまり、ブレーキレバーを握った状態でカーブに入り、徐々に緩めてから再加速するということです。」


 

その結果どうなるのですか?

「ブレーキを緩める間は、制動力はピークを過ぎてコントロール状態にあるわけですが、この状態で加速しますとローサイドが起きる可能性がありますし、ときどき起きていました。ですからライダーは、自分のライディングスタイルやブレーキに対する感覚を、340mmディスクのブレーキの特性に適合させていく必要があります。」


 

><span id='ms-rterangeselectionplaceholder-end'></span> </div>                     <div class=
 

ディスクの温度を下げるというお話はこれまでうかがってきましたが、逆にディスクの温度を機器を使って上げているサーキットがあるそうですが。

「あります。たとえばフィリップアイランドがそうですが、ここはレースが冬季開催で気温が低いんです。ですからオーストラリアでは各チームは、ディスクにカーボン素材のカバーを“着せ”て、ディスクが最低動作温度の200度以上を保つようにしています。アッセンやル・マンも気候条件が難しいときにはそうしています。

 

我々としては、径の違うディスク2種類に加えてそれぞれの仕様違いも2種類揃えなければならなくて大変でした。片方は、ほぼ全面が“ハイブレーキ面”のタイプ、もう片方は温度の上げやすさを考えて面積が少なめの“ローブレーキ面”タイプです。最近我々が供給している340mmカーボンディスクは“ローブレーキ面”タイプだけです。ライダーは喜んでくれています。

 

サーキットによっては、寒いとサイズの大きいディスクを適温まで温められなくて使えなかったことがありますから。我々はこんなふうにたとえ条件が厳しくてもチームのあらゆる要求に応えようと頑張っています。」


 

重要なその200度まで、もし上がらなかった場合、安全性に問題が出てきますか?

「それはありません。システムの動作は常に同じです。ただ、効きがかなり違うということです。」


 

(つづく)


 

ブレンボ:MotoGPのブレーキングの秘密(その1)

                             


 

Brembo S.p.A. | P.IVA 00222620163

Follow us

Follow us on FacebookTwitterYouTubeLinkedInPinterestInstagramYoukuWeibosnapchat.pngwechat.pngVK