4位:BMW HP RACE*(215馬力)
2016年のミラノショーでコンセプトモデルとして公開されたHP4 RACEは、当時750台の限定生産でした。BMWは素材をクラスアップし、最高レベルの機械加工とハイグレードのパーツを惜しみなく投入して、なにひとつ妥協しない超一流のレーシングマシンを誕生させました。その特徴のひとつが、重量わずか7.8kgのモノコック構造のカーボンフレームです。前輪のホイールも後輪のホイールもカーボン製で、さらにカウルもカーボン製です。カウルが覆うエンジンは、世界耐久選手権(6.2)とスーパーバイク世界選手権(7.2)と同スペックです。重量(燃料込)171kg、215馬力で最大トルクは120 Nm/10,000 rpmというすごいマシンを作ったBMW、感謝のひと言しかありません。
制動力も最大レベルを目指しブレンボは世界最高峰のグランプリレースからパーツを厳選しました。GP4-PRキャリパーをはじめ、制動面をスリムにしたT-Driveスチールディスク、Z04ブレーキパッド、それにMoto2でも採用されているラジアルマスターシリンダーを選択しました。GP4-PRキャリパーはインゴットからの削り出し製法によるもので、チタン製のピストン4本を異径で配置し(摩擦係数を一定にするため)、ガスケットはレース仕様品を使用しています。HP4 RACEのT-Driveディスクは8本のT字形のピンが特徴で、ブレーキトルクを効率よく伝達し、過酷な状況でも熱ストレスに耐えられる高い耐性を確保しています。
*BMW HP4 RACEは750台限定生産のスタンダードバイクですが、公道走行は非認可でサーキット走行専用です。今回のランキングは、公道用かレース用かに関わらず世界最速のスタンダードバイク(プロトタイプモデルや生産台数の極端に少ない限定車は除外)が使用するブレーキシステムのご紹介が目的であるため、熟考の末、このランキングに加えることにしました。