1) キャリパー
ブレンボのキャリパーは、マルケスの5台のマシンに共通する最も重要なパーツです。仕様はマシンごとに異なりますが、唯一変わらなかったのは、フロントがモノブロックでリアがツーピースということです。モノブロック製法のキャリパーは剛性が高いため、使用割合が大きいフロントに用いることでメリットを最大限に発揮できます。
一方、リアは小さい分、剛性の差も限定的という技術的な理由からツーピースをリアに採用しました。マルケスの場合、変わっていったのはマウント方式とピストンの数です。
2010年に世界を制した際のデルビでは、フロントはラジアルキャリパー、リアはアキシャルキャリパーで、いずれも2ポットでした。その2年後に再び世界チャンピオンに輝いた際のスッターでは、フロントを4ポットに変えました。
プレミアクラスで3度目の世界制覇を成し遂げた際のホンダRC213Vは、フロントもリアもラジアルキャリパーになりましたが、リアは2ポットです。素材は一貫してアルミニウムですが、2013年と2014年は、フロントにアルミ・リチウム合金製キャリパーを採用しています。