MotoGP/500ccクラスの世界タイトル獲得回数の多い国

2021/11/08

 最高峰クラスのタイトル獲得回数が多い国を、昇順ランキングでご紹介します。

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世界チャンピオンのタイトルをファビオ・クアルタラロが獲得したことで、最高峰クラスでの栄誉がフランス人ライダーの手に72シーズンぶりに戻ってきました。​



 

クアルタラロが使用するブレーキはブレンボ製。MotoGP/500ccクラスの世界タイトル獲得選手は、1994年から今日まで全員がブレンボ製ブレーキを選択しています。ブレンボ製ブレーキが初めて世界選手権に使用されたのは1960年代後半ですが、1984年には世界チャンピオンのマシンのブレーキとなり、以降1986年、1988年、1991年、1992年と続きました。​



 

このブレンボ製ブレーキパーツ採用マシンは、MotoGP/500ccクラスで33回の世界タイトル、34回のコンストラクターズタイトルの獲得をもたらしました。逆に、マシンのブレーキがブレンボ製でない選手の最高峰クラスのグランプリ優勝は、今から26年以上も前の、1995年5月21日のドイツGPまでさかのぼらなければなりません。


話をファビオ・クアルタラロの快挙に戻しましょう。フランス人ライダーの世界タイトル獲得は、250ccクラスではジャン=ルイ・トルナドール(1982年)、クリスチャン・サロン(1984年)、オリビエ・ジャック(2000年)の3回。125ccクラスではアルノー・ヴァンサン(2002年)、マイク・ディ・メッリオ(2008年)の2回。Moto2も同じく2回で、ヨハン・ザルコが2015年と2016年の連覇に成功しています。​



 

最高峰クラスのタイトル獲得回数が多い国を、昇順ランキングでご紹介します。​


6位/フランスとローデシア:各1回​​


1961年、ゲイリー・ホッキングがMVアグスタで500ccクラスの世界タイトルを獲得。ホッキングはウェールズ生まれで、成長期を南ローデシア(現在のジンバブエ)で過ごしました。当時のシーズン10レース中、9レースに参戦しそのすべてでファステストラップを記録、7回の優勝を飾りました。一方、フランス人ライダーであるクアルタラロは、今年参戦した16レースでの戦績は、優勝5回、表彰台獲得10回にとどまっています。​



 

5位/オーストラリア:8回​


オーストラリア人初のチャンピオンは、1987年にホンダでシーズン7勝を挙げたワイン・ガードナー(Moto2チャンピオンを獲得したレミー・ガードナーの父)でした。同じコンストラクターでマイケル・ドゥーハンが、1994年から1998年に、各シーズン7~12勝の快進撃で5連覇しています。残りの2回はケーシー・ストーナー。2007年にドゥカティで世界制覇、その4年後にはホンダでシーズン10勝を挙げ、世界タイトルを獲得しました。​



 

4位/スペイン:11回​


スペインは最高峰クラスの制覇に関してはやや遅咲きでした。アレックス・クリビーレがホンダでシーズン6勝を挙げた1999年が初タイトルでした。その後ホルヘ・ロレンソがバトンを受け継ぎ、ヤマハで2010年、2012年、2015年の3回、世界タイトルを獲得しています。この勢いはマルク・マルケスへと続き、ホンダで2013年から2019年にかけて6回も世界制覇を成し遂げました。ただ、昨シーズンはスズキのジョアン・ミルにその座を譲っています。



 

 
                                                                                                                                                                                                                                            ​ 

 


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3位/アメリカ:15回​


世界タイトルの獲得回数では3位ですが、驚くべきはその選手の数。なんと7名で、イタリアやイギリスに勝ります。7名が獲得した15回のうち13回は1978年から1993年。初タイトルから3回まではケニー・ロバーツ(ヤマハ)、続いてフレディ・スペンサー(ホンダで2回)、エディ・ローソン(4回)、ウェイン・レイニー(ヤマハで3回)、ケビン・シュワンツ(スズキで1回)が獲得しています。2000年にはケニー・ロバーツ・ジュニアが、2006年にはニッキー・ヘイデン(ホンダ)がそれぞれ世界制覇しました。以上の15回をマシン別にみると、ヤマハが9回、ホンダが4回、スズキが2回となっています。​


 

2位/イギリス:17回​


選手権が始まった当初は、勝負にならない圧倒的な勢いでした。イギリス勢は、1949年から1965年までに500ccクラスを13回も制覇し、世界一の座にありました。1949年の初タイトルはレスリー・グラハム(AJS)。その後ジェフ・デュークが4回、さらにジョン・サーティースとマイク・ヘイルウッドもそれぞれ4回世界タイトルを獲得しています。勝利をもたらしたマシンは、ジェフ・デュークの初回(ノートン)を除いてすべてイタリア製です。残りの4回は、1970年代に入ってから、フィル・リード(MVアグスタ)と、日本のスズキのマシンで世界チャンピオンになった唯一のイギリス人ライダー、バリー・シーンの二人で分け合っています。しかし、1978年以降は、イギリス勢はタイトル獲得ができていません。​



 

1位/イタリア:20回​


最高峰クラスチャンピオンの出身国ランキングとなれば、この国がトップにならないはずがありません。イタリアンカラーに染まる世界制覇を初めて成し遂げたのはウンベルト・マセッティで、1950年と1952年にジレラでタイトルを獲得しました。リベロ・リベラーティも1957年にジレラで世界チャンピオンに輝いています。その後はジャコモ・アゴスチーニが王者の座に君臨し続けます。1966年から1972年まではMVアグスタで、1975年にはヤマハで世界制覇を果たしました。1980年代に入ってトップの座を奪還したのが、1981年のマルコ・ルッキネリと、翌1982年のフランコ・ウンチーニ。二人ともチームガリーナのスズキのマシンでタイトルを獲得しています。2000年以降はバレンティーノ・ロッシの独壇場が続きました。2001年から2005年まで5連覇を達成し、2008年と2009年にも再び連覇を遂げています。マシンは最初の3連覇がホンダ、以降の4回はヤマハです。​



 


来年以降はどの国がランクインするでしょうか?日本、ポルトガル、それとも2022年に二人揃っての参戦をするビンダー兄弟の南アフリカでしょうか?わかるはずもありません。なぜなら、今年の3クラスで1回でもグランプリ参戦した選手の国籍は23ヵ国にものぼるからです。彼らは今後も私たちを楽しませてくれるでしょう。ブレンボ製ブレーキ搭載のマシンを駆って。


 
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