フォーミュラ1が2025年に使用する24か所のトラックは、シングルシーターのブレンボ製ブレーキシステムにかかるストレスの点でそれぞれに異なる特性を持っています。以下では、ブレーキに特に負荷がかかるトラックと、その理由を説明しています。

2025年にブレンボは、フォーミュラ1に参加継続して半世紀を迎えました。1961年に設立されたばかりで、当初はスクーデリア・フェラーリへの鋳鉄ディスク供給に限定していた企業にとって、これは重要なマイルストーンです。

とはいえ、ブレンボは80年代から自社製キャリパーも各チームに供給しており、供給を受けたチームが成功を重ねているので、2025年にも前2回の選手権と同様に、すべてのフォーミュラ1チームが、効率、軽さ、剛性を兼ね備えたブレンボグループ製キャリパーを集中的に選んでいます。

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キャリパーは、チームマネージャーとの協働設計で、各シングルシーター用にカスタムキャリパーを製作しています。しかし、ブレンボのエンジニアの関与はこれだけにとどまらず、毎回GPのサーキットに常駐し、異なるトラックの特性に応じて採用する最善のソリューションについて、ドライバーとチームに助言しています。

私たちは、ブレーキシステムに対する各トラックの難易度を見極めるため、フォーミュラ1に関わるブレンボのエンジニアに2025シーズンのGPについて精密な評価を依頼しました。
フォーミュラ1のブレーキシステムにとって特に厳しいサーキットのランキングを作成するため、考慮に入れられた変数は複数あります。最終的なランキングに至った理由を理解しやすくするため、これらを1つずつ紹介します。

特に激しいブレーキ

サーキットを適切に分類する要素の一つは、ブレーキ強度です。サウジアラビア、カナダ、アゼルバイジャンでは、例えばブレーキと運転者に求められる努力が最も大きい高に分類されるブレーキポイントが、1ラップごとに6か所あります。ブレーキ難易度高のポイントは、ベルギーとシンガポールでは5か所、カタールでは1か所です。

ブレーキ難易度高は、減速度4G以上、ブレーキ使用時間1.5秒超、ペダルへの負荷130kg超ですが、なによりもブレーキ力指数2,000kW以上であることが特徴です。

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ブレーキの回数

トラックの厳しさに影響するもうひとつの要素は、1ラップあたりのブレーキ数です。証拠が示すとおり、この数値はストリートサーキットで大きくなります。フォーミュラ1ドライバーは、モナコ公国の狭い道では15回、シンガポールでは12回、バクーでは11回ブレーキを使用しています。

こうしたサーキットは、景色以外にもそれぞれにかなりの違いがあります。例えば距離でいうと、モンテカルロの3,337メートルからアゼルバイジャンの6,000メートルまで、また中間のシンガポールは4,940メートルと大きく異なります。

一方、スペインGP、オーストリア、モンツァ、ラスベガスでは1ラップごとに6回、ブラジルGPでは5回しかブレーキポイントがありません。

ブレーキの回数が少ないほど、1回のブレーキから次のブレーキまでの時間が長くなり、次の減速までにブレーキシステムが一息付けることは明らかです。

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ブレーキのレイアウト

しかし、1ラップ中のブレーキ回数では、そのレイアウトに関する情報がなく、それゆえにブレーキ同士の間隔に関する情報もないため、誤解を招く可能性があります。ストップアンドゴー・トラックに特有の非常にハードなブレーキは、ブレーキ温度上昇の一因となりますが、高速セクションがあることでブレーキの間隔が空けば、ブレーキシステムが適切に冷却される貴重な数秒を稼ぐことができます。

逆に、次から次へと激しいブレーキングが続くと、ブレーキシステムの冷却が妨げられます。これが起こるのは例えばオーストリアで、最初の4か所のコーナー(そのうち2番目のコーナーは示唆されているだけで、スピードの減少は伴わない)では、3か所で少なくとも90メートルのストッピング距離、時速170kmを超える減速、140kg超のペダル負荷となります。

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ブレーキにとって特に厳しいサーキットにブレンボはどう取り組んでいるか

この時点で、ブレーキ回路の難易度が、使用するブレーキシステムの特性にも影響するのではないかと思われる方もいらっしゃることでしょう。

キャリパーに関してのみ言えばバリエーションは一切ありません。というのも先に説明したように、キャリパーはシングルシーター用に設計されており、その形態がシングルシーターの特性と結びついているからです。しかし、キャリパーの性能と効率はまた、トラックごとに異なるブレーキダクトの構成に左右されます。ブレーキダクトは、ある場合にはブレーキに多くの空気を送り込む必要があり、また他の場合には代わりに冷却しすぎを避ける必要があります。

サーキットでブレーキが到達する温度に応じて、各チームはどのブレンボ製カーボンディスクを使用するかを選択します。最大限の冷却が必要な場合には、冷却孔が1,050個あるフロントディスクと800個あるリアディスクが採用されますが、それほど極端でない条件下では、換気口の数がより少ないブレーキディスクを選択するチームもあります。

最終評価

ブレンボの技術者は、こうした変数すべてと、定量化するのがより困難な他の要素も考慮に入れて、2025年フォーミュラ1シーズンの24か所のサーキットでブレーキシステムに必要な取り組みを格付けしました。

ここでは1から5までのスケールを使用しました。鈴鹿とシルバーストンで得られた最低値は、ブレーキの関与が控え目なことに相当します。一方イタリアGP(モンツァ)とバーレーンGP(サヒール)ではストレスが最大となり、そのレベルではないもののストレスが高いのは、ジェッダ、モントリオール、スパ・フランコルシャン、シュピールベルク、バクー、メキシコシティです。

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