想像力、勘、頭の回転の速さ、実行速度。フォーミュラ1ドライバーはこうしたスキルを利用して、トラック上では毎回のコーナーでコンマ1秒を削り、コース外では仲間にいたずらをしかけます。

ヘルメットを脱いだら、一人で、あるいは家族と一緒にモーターホームに戻ってくつろぎたい人もいます。しかし、楽しみを待ちきれず、チームメイトや他のチームメンバーにしょっちゅういたずらをしかける人もいます。ここではトラック内外で起きた最高のいたずらを取り上げます。

ベルガーからセナへ:予期せぬジャンプ
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ゲルハルト・ベルガーは、フォーミュラ1でアイルトン・セナのチームメイトとして最も長い時間を過ごしたドライバーです。1990年から1992年までの3シーズン、ブレンボ製ブレーキを装着したマクラーレンで、合計48戦のグランプリレースをともに戦いました。二人の仲の良さは傍目にも明らかで、数え切れないほどの逸話が残っています。

ある時には、モンツァ・サーキットからほど近い場所をヘリコプターでの飛行中、オーストリア人ベルガーは、ブラジル人セナが壊れないと自慢していたカーボンファイバー製ブリーフケースをヘリコプターから外へ投げ捨てました。別の思い出は、オーストラリア旅行でベルガーがセナのホテルの部屋を1ダース分のカエルでいっぱいにしたことです。

ペレスとピット:周り回って戻る
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2011年、セルジオ・ペレスはフェラーリエンジンを搭載するザウバーからフォーミュラ1デビューを果たします。最初の14GPでポイント得点はわずか3回でした。日本では予選17番手ながら、2回のピットストップと入念なタイヤ管理のおかげで8位まで順位を上げます。

しかし最終ラップに来ると、彼は無線で叫び始めました。「パワーがない、パワーがない。」でもレース技術者はこう答えます。「最後まで行け、突き進め。」8位でゴールラインを通過した後、チェコ(ペレス)は爆笑し、「ははは、冗談だよ。」技術者はそこで、ペレスのチームメイトである小林可夢偉が13位ではなく4位でフィニッシュしたことを告げます。メキシコ人ペレスは、お返しにイタズラしたと言われるまで説明をせがみました。

ラウダからジャーナリストへ:私を見ないで、聞こえないよ
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旧ニュルブルクリンクで1976年夏に事故に遭ったにもかかわらず、故ニキ・ラウダは不屈の精神を持つ男でした。しかもその前年にはフェラーリを駆って、ブレンボ製ブレーキでチャンピオンを獲得した最初のドライバーでもあります。

2013年の映画『ラッシュ』のリリースの際、オーストリア人ラウダは米国のテレビクルーとともに、事故現場であるベルクワークのコーナーに戻りました。記者が感想を尋ねると、彼は自分の考えを述べたあと、近くの草むらに目をやり、かがみこんであるものを手に取ります。「見て、これ何だと思う?私の耳だよ。」カメラマンと女性は唖然としました。実際には、ニキは直前に隠したクッキーを手にしていたのです。

ピケからマンセルへ:ペーパーの最高
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ネルソン・ピケとナイジェル・マンセルは、1986年と1987年にウィリアムズ・ホンダでチームメイトとなりました。ウィリアムズ・ホンダは当時グリッド上で最高の車でした。この相棒の最後から3番目のレースは、1987年のメキシコGPでした。

練習走行中にブラジル人ピケは、イギリス人マンセルがお腹の不調で頻繁にピットに戻っていることに気づきます。ピケはチームのトイレからトイレットペーパーをすべて取り去ってしまい、マンセルはトイレに座ってすぐに気づきましたがもう手遅れでした。マンセルは、そのニックネームにふさわしくライオンの咆哮で反応したようです。ナイジェルはグランプリでの勝利でリベンジを果たします。このレースは30周目にトラック上の破片を取り除くために中止してから再開しました。解放に満ちた週末。

アレジとベルガーからトッドへ:Uターンというよりは転回
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セナの後、ベルガーは1993年から1995年までフェラーリでジャン・アレジのチームメイトとなりました。フランス人アレジは、ある日マラネロにいたとき、オーストリア人ベルガーからフィオラノまで乗せていってくれと頼まれたときのことを語ります。しかし、アレジは車を持っていなかったので、当時スクーデリア・フェラーリの監督だったジャン・トッドのY10を借りました。

ジャン・アレジはフルスピードで運転するチャレンジをしており、ベルガーはハンドブレーキを引くいたずらをしかけます。トラックに入ったところで車がひっくり返りましたが、技術者が車の向きを戻し、防水シートで覆いました。2人のドライバーはトッドに叱られるだけで済みました。不適切なブレーキの使用により2人が危害を被ることもあり得ました。安全性は冗談ではありません。ブレンボ製ブレーキシステムを使用している場合もです。