アメリカの著名な自動車専門誌 MotorTrend は、これまでテストした市販車の中から、60mph(96km/h)から完全停止までの制動性能に優れた10台のランキングを発表しました。ネタバレすると、すべての車両にBrembo製ブレーキが搭載されています。

私たちは通常、0km/hから100km/hまでの加速時間だけを見てクルマの性能を評価しがちです。しかし、本当に重要な問いはこうです。100km/hから0km/hまで停止するのにどれだけの時間と距離が必要なのでしょうか。

 

ブレーキングは日常的な動作であり、安全性において欠かせない要素です。加速は時折楽しむものですが、減速や停止は常に必要とされるものであり、いざという時には1メートルの差が大きな違いを生みます。

実際、日常的に運転する人であれば、重要なのはできるだけ短時間で最高速度に到達することではなく、予期せぬ障害物を回避するために、できるだけ短い距離で減速・停止することであると理解しているはずです。

 

しかし、0-100km/h加速性能に関するランキングは数多く存在する一方で、制動距離に関するデータや異なる車両間の比較は非常に限られています。

その例外が、アメリカの著名な自動車専門誌 MotorTrend が作成した今回の特別ランキングです。同誌は、これまでテストした車両の中から最も優れた制動性能を持つ10台を選出しました。

 

ランキングをご紹介する前に、トップ10のすべての車両がBrembo製ブレーキを装備していることをお伝えするとともに、ひとつ重要な点を明確にしておきます。制動距離の測定はMotorTrendによって実施されたものであり、私たちはそのランキングを紹介するにとどめています。 そのランキングは以下のリンクから直接ご覧いただけます また、ブレーキシステムの特徴に関する情報を補足しています。

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ランキング

それでは、MotorTrendが発表した制動距離の短い順のランキングをご紹介します。

第10位:90フィート(27.43m)

シボレー・コルベット Z06は、車重1.6トンを超える力強いモデルで、LT4と呼ばれる6.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンを搭載しています。最高出力は650hp、最大トルクは850Nmに達します。

 

この高性能を支えるのが、チタン製インテークバルブ、鍛造ピストン、そして9.4PSIの過給圧を発生するスーパーチャージャーです。

 

ブレーキシステムにはBrembo製対向ピストンキャリパーを採用。フロントは6ピストン、リアは4ピストン仕様で、フロント394mm(厚さ36mm)、リア390mm(厚さ32mm)のカーボンセラミックディスクと組み合わせられています。

テスト車両のオートマチックトランスミッション仕様は、マニュアル仕様よりも制動距離を1フィート(約30cm)短縮し、90フィート(27.43m)で停止しました。

第9位:90フィート(27.43m)

シボレー・コルベット Z06ほどの性能には達しないものの、その姉妹モデルであるグランドスポーツは、デザイン面でも性能面でもアメリカンスーパーカーの真髄を体現しています。

 

Z51パッケージにより、6.2リッター自然吸気V8エンジンから460hp660Nmを発生します。

 

グランドスポーツ Z07仕様には、先ほど紹介したコルベット Z06と同様のBrembo製カーボンセラミックブレーキシステムが搭載されています。フロントは6ピストンキャリパーと394mmディスク(厚さ38mm)、リアは4ピストンキャリパーと390mmディスク(厚さ32mm)の組み合わせです。

制動距離もZ06と同じ90フィート(27.43m)を記録しています。

第8位:90フィート(27.43m)

マラネロで開発された最先端技術の結晶であるフェラーリ SF90 ストラダーレ Assetto Fioranoは、特にF1をはじめとするモータースポーツでスクーデリア・フェラーリが培っ

た知見を具現化したモデルです。

 

4リッターV8内燃エンジンに3基の電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムにより、システム総出力986hpを発揮します。

このフェラーリの卓越したドライビングフィールに貢献しているのがBrembo製ブレーキシステムです。キャリパーは7種類のカラーから選択可能です。

 

さらに、キャリパーにはエアインテークからの気流を効率的にパッドとディスクへ導く統合型エアロダイナミックフィンが備えられています。

 

フロントには398mm径のカーボンセラミックディスク、リアには360mm径ディスクを採用しています。

制動距離は90フィート(27.43m)です。

第7位:90フィート(27.43m)

7世代フォード・マスタングは、初代モデルからインスピレーションを受けたデザインを採用しています。その力強いスタンスと洗練されたシルエットがそれを物語っています。

ボンネットの下には5リッターCoyote V8エンジンを搭載し、7,250rpm500hpを発生、最大トルクは570Nmです。

Dark Horse Premiumは、空力性能と冷却性能の向上も特徴としています。

Mustang Dark HorseにはBrembo6ピストンキャリパーが採用されており、Appearance Pack仕様ではダークカラーの「Notorious Blue」が設定されています。

フロントには390mm径(厚さ36mm)のディスク、リアには4ピストンキャリパーと355mm径(厚さ28mm)のディスクが組み合わされています。

このモデルも90フィート(27.43m)で停止しました。

第6位:89フィート(27.13m)

ダッジ・バイパー ACR(トラックセットアップ)を語るうえで欠かせないのが、8.4リッターV10エンジンです。ACRとは「American Club Racer」の略称であり、この自然吸気エンジンは645hpの最高出力と813Nmの最大トルクを発生します。

また、全幅1.87mの大型リアウイングが高いダウンフォースを生み出し、車両を路面にしっかりと押し付けます。

Brembo製ブレーキシステムも、その圧倒的なパフォーマンスにふさわしい仕様となっています。フロントには6ピストンキャリパーと、ベンチレーションホール付き390mm径(厚さ34mm)のカーボンセラミックディスクを装備。リアには4ピストンキャリパーと360mm径(厚さ32mm)のカーボンセラミックディスクが組み合わされています。

このシステムにより、Viper ACRはわずか89フィート(27.13m)で停止しました。

第5位:88フィート(26.82m)

2019年に発表された新型シボレー・コルベット ZR1は、それまでに生産されたすべてのコルベットを凌駕する性能を備えていました。

その原動力となったのが、6.2リッターLT5エンジンです。先代モデルよりも高効率なインタークーラー付きスーパーチャージャーシステムと、ゼネラルモーターズ初のデュアルインジェクションシステムを採用し、最高出力755hp、最大トルク969Nmを実現しました。

史上最も過激なコルベットを制御するために採用されたのが、Brembo製ブレーキシステムです。

フロントには6ピストンアルミモノブロックキャリパーと394mm径・厚さ36mmのカーボンセラミックディスクを装備。リアには4ピストンアルミモノブロックキャリパーと390mm径・厚さ32mmのディスクを採用しています。

ブレーキパッドには新しい摩擦材が使用されており、より高い制動力と優れた耐久性を実現しています。

その性能は、わずか88フィート(26.82m)という制動距離によって証明されています。

第4位:88フィート(26.82m)

ミッドシップレイアウトを採用した2シータースポーツベルリネッタというコンセプトを進化させたフェラーリ 296 GTB Assetto Fioranoは、120V型という革新的なレイアウトの6気筒エンジンとプラグインハイブリッドシステムを組み合わせ、総出力830hpを発生します。

この構成により、コンポーネントの小型化と空気経路の短縮が実現され、吸気系および排気系の効率が最大限に高められています。

Assetto Fiorano仕様では12kgの軽量化が図られているほか、高ダウンフォースを生み出すカーボンファイバー製エアロパーツが採用されています。

こうしたパフォーマンスを支えるのがBrembo製ブレーキシステムです。フロントには398mm径・厚さ38mmのカーボンセラミックディスク、リアには360mm径・厚さ32mmのカーボンセラミックディスクを装備しています。

6ピストンのDyademaキャリパーは、グロスブラック、モデナイエロー、アルミニウム、ロッソコルサ、ロッソスクーデリア、ダークグレー、ブルー、ゴールドのカラーから選択可能です。

リアには4ピストンキャリパーを採用し、電動パーキングブレーキ機構が統合されています。

MotorTrendが計測した制動距離はわずか88フィート(26.82m)でした。

第3位:87フィート(26.52m)

ダッジ・バイパー ACRは、レーシングカー向け技術と公道走行向け技術を融合したモデルですが、公道専用仕様へと適応させる必要があります。

サーキット仕様では車高が下げられ、タイヤも異なります。これは、より高いグリップ力が求められ、使用温度も高い状態が維持されるためです。一方で、エンジンについては前述の仕様から変更はありません。

Brembo製ブレーキシステムも同様です。フロントには6ピストンキャリパーと390mm径(厚さ34mm)のベンチレーションホール付きカーボンセラミックディスク、リアには4ピストンキャリパーと360mm径(厚さ32mm)のカーボンセラミックディスクを装備しています。

ブレーキ冷却用エアインテークを備えない公道仕様のセットアップにより、Viper ACRはさらに性能を向上させ、87フィート(26.52m)で停止しました。この結果により表彰台入りを果たしています。

第2位:87フィート(26.52m)

加速性能を最大限に高めることを目的としたTurboおよびTurbo Sモデルとは異なり、ポルシェ 911 GT2 RSは、パワー、グリップ、エアロダイナミクス、そしてブレーキング性能の最適なバランスを実現するために開発されました。

搭載されるのは3.8リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンで、最高出力690hp、最大トルク750Nmを発生します。

このモデルは公道走行も想定されているため、フロントに410mm径、リアに390mm径のカーボンセラミックディスクを採用しています。

また、Bremboはフロント用6ピストン、リア用4ピストンのアルミモノブロックキャリパーを供給しています。

その結果、911 GT2 RSはわずか87フィート(26.52m)で停止するだけでなく、高負荷条件下でも安定した制動性能を発揮します。

第1位:86フィート(26.21m)

同じ5リッターV8エンジンを搭載しているにもかかわらず、フォード・マスタング Dark Horseのオートマチックトランスミッション仕様(10Premium)は、マニュアル仕様より加速性能では劣ります。

160km/hに到達するまでに、マニュアル仕様より1.5秒以上長い時間を要します。

さらに、オートマチック仕様はマニュアル仕様より47kg重く、車両重量は1,827kgに達します。この数値だけを見ると、制動距離も長くなると考えられます。

しかしMotorTrendのブレーキテストでは、Dark Horseオートマチック仕様は以下の結果を記録しました。

92フィート、91フィート、90フィート、88フィート、87フィート、90フィート、86フィート(26.21m)、89フィート、88フィート、90フィート、91フィート、90フィート。

ランキング内のもう1台のFord Mustang Dark Horseと同じBrembo製ブレーキシステム(フロント6ピストン、リア4ピストン)を装備しているにもかかわらず、オートマチック仕様はマニュアル仕様より4フィート(1.22m)短い制動距離を達成し、この特別ランキングで第1位を獲得しました。

最終考察

ブレーキング性能は、ブレーキシステムだけで決まるわけではありません。むしろタイヤの影響はそれ以上に大きい場合があります。

テストされたスーパーカーに標準装備されているタイヤのサイズ、摩耗状態、コンパウンドは極めて重要です。なぜなら、制動力を路面へ伝達する役割を担うのがタイヤだからです。

 

MotorTrendのランキングから学べることがあるとすれば、トップ10にランクインしたすべての車両がBrembo製ブレーキを装備しているのは決して偶然ではないということです。

これは単なる統計上の事実ではなく、Bremboがブレーキシステムのサプライヤーであるだけでなく、世界最高峰の高性能車メーカーにとって不可欠なテクノロジーパートナーであることを示しています。

エンジン性能や空力性能を超えて、これらのスーパーカーに共通しているのは、運動エネルギーを記録的な制動距離へと変換し、それを繰り返し安全に実現できるブレーキシステムを選択していることです。

ランキングのすべての順位にBremboが存在することは、個々のモデルや異なるエンジニアリングアプローチを超越した卓越性を示しています。

 

あらゆる細部にまで徹底的なこだわりが求められる自動車業界において、最も重要なコンポーネントの一つをBremboに託すという選択は、継続的な研究開発、イノベーションへの情熱、そして絶え間ない協力関係の成果です。

それによって、これらの夢のようなクルマは限界まで性能を追求しながら、あらゆる状況で安全に停止できるという確信を得ているのです。

テスト方法

MotorTrendのテストが実施される前に、すべての車両は安全性を最大化し、すべてのテストを同一条件で行うために、同じ点検手順を受けます。

燃料タンクにはメーカー推奨量の燃料が充填され、タイヤ空気圧は取扱説明書の指定値に調整されます。

 

ブレーキテストでは、テストドライバーが車両を101km/h63mph)まで加速し、その後ブレーキペダルを踏み込みます。

車速が96km/h60mph)に達した時点から、完全停止するまでの距離が計測されます。

この方法により、人間の反応時間という要素を除外し、車両そのものの制動性能のみを評価することができます。

 

複数回のテストが連続して実施されます。これは、一部のブレーキシステムが温度上昇後により高い性能を発揮するためです。

最終的な記録は、60mphからの5回の制動テストのうち最良の結果を採用します。同率の場合は2番目に良い結果が比較対象となり、それでも同じ場合はさらに次の結果が用いられます。

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MotorTrendとは異なり、複数回の制動距離の平均値を採用する手法もあります。また、5回から10回程度の連続ブレーキングを実施し、最後の制動結果のみを評価対象とする方法も存在します。

どの方法が絶対的に優れているということはありませんが、採用する手法が測定値や最終結果に大きな影響を与えることは明らかです。

例えば、連続して実施したブレーキングの中で最良の結果ではなく最後の結果のみを採用する方法は、ブレーキシステムが連続制動による負荷にどれだけ耐えられるかも評価に含めていることになります。

 

なお、このランキングはアメリカで実施されたものであるため、テスト対象車両の多くは北米で生産されたモデルです。ヨーロッパ車は比較的少なく、アジア車はトップ101台も含まれていません。

それにもかかわらず、すべての車両に共通する要素はBrembo製ブレーキシステムの存在です。

ご覧のとおり、制動距離はブレーキシステムだけで決まるものではなく、タイヤのサイズや特性、車両重量、重量配分、さらにはテスト時の気象条件も重要な役割を果たします。

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