
ディスクにホールやスロットがあると制動力が向上する理由
ホール(ブレンボXtra)やスロット(ブレンボMax)があるブレーキディスクは、グリップ性に優れ、レスポンスも制動力も向上しています。これは、表面にホールやスロットがあることで標準ディスクに比べて摩擦係数が高くなるために、特に初期制動時にはより高い制動力を発揮できることが理由です。
また、表面にホールやスロットがあるブレーキディスクを使用すれば、ブレーキパッドの摩擦材の面が常に清潔に保たれるという重要な利点もあります。また、雨天では制動面に生じやすい水の膜が、ホールがあることでできにくくなります。したがって、路面がたとえ濡れていてもペダルの操作にすぐに反応して高い制動力が得られます。同様に、スロットの場合はその形状が外周方向へ向かっているので、ディスクの表面についた水が効率よく散っていきます。その結果、天候を問わず動作がいっそう安定します。
水が散るのと同じように、パッドとディスクとが摩擦で高温になって発生するガスも、ホールやスロットのあるディスクでは放散されやすくなります。
パッドとディスクが高温になると、摩擦材の成分である樹脂が燃焼してガスが発生します。これがディスクとパッドとの間の摩擦係数を下げ、いわゆるフェージング現象を引き起こします。その結果、制動力の効率が低下してしまいます。ディスクの表面にホールやスロットがあれば、これらのガスをすばやく放散させるので、最適なブレーキングができる状態への回復が早まります。
そして最後にもう1点。ブレンボXtraとブレンボMaxのいずれのディスクも、スポーティーな走りを求めるすべてのドライバーに向けて開発された優れた製品ですが、快適性も、ディスクとパッドの減りにくさも両立させています。標準タイプのブレーキディスクと比べて、外観の美しさと高い実用性を兼ね備えています。さて、ここで視点を変えて、それぞれが他方に勝る長所と使用条件についてみてみましょう。