スーパーバイク世界選手権がいよいよ開幕:ブレーキシステムに関して知っておきたい6つのポイント

2016/02/29

 スーパーバイク世界選手権2016で使用するブレーキシステムについて、ブレンボがお伝えしたい重要なポイントを、ここで6つご紹介します。

長い冬が終わるといよいよスーパーバイク世界選手権が開幕します。参戦するバイクメーカー7社にとって、このシーズンもかつてない激しい戦いとなりそうです。

スーパーバイク世界選手権2016で使用するブレーキシステムについて、ブレンボがお伝えしたい重要なポイントを、ここで6つご紹介します。


 
 

1) ライダーが選ぶブレンボ


ブレンボ製ブレーキが大活躍した2015シーズン。全26戦、優勝したマシンはすべてブレンボ製ブレーキ搭載車でした。世界トップクラスのブレーキメーカーの実力を評価して今シーズンも多くのチームが引き続き採用を決めています。世界選手権にエントリー中の14チームを代表する24選手のうち、実に18名もの選手(11チーム)が、ブレンボ製ブレーキで参戦予定。つまり約8割の選手が2016シーズンにブレンボを選んだことになります。


 


 

2) ブレーキディスクの素材はレギュレーションによりスチールディスクに限定

                    

スーパーバイク世界選手権で使われるブレーキキャリパーは、MotoGPと同様に、アルミニウムのインゴットから削り出す製法で製造されたモノブロックタイプのレース用キャリパーです。大きく違うのはブレーキディスクで、スーパーバイクはスチール製です(MotoGPはカーボン製)。厚さは薄く、また直径も小さめで、サーキットの状況(ブレーキにとっての条件の良し悪し)やチームと選手の要求に合わせて328mm~336mmの間で選択します。


マスターシリンダーも選手の判断で選べます。フロントマスターシリンダーに対してアクスル間ディファレンシャルとピストンの組み合せを変えて、ベーシックな感触から鋭敏な感触まで好みの設定にします。サムブレーキマスターシリンダーだけを使用する場合と、ブレーキペダルと組み合わせる場合とがあります。


 

3) 一般のスーパースポーツバイクでも使えるスーパーバイク用ブレーキパッド


 


スーパーバイク世界選手権で使用する部品の中で、一般のスーパースポーツバイクでも使えるものは、市場ではなかなか見当たりません。
この例外がブレンボのブレーキパッドZ04です。スーパーバイクでもスーパースポーツでも使用できるパッドで、愛車でレースを楽しみたいファンに向けて販売されています。


 


ブレンボのZ04は摩擦力が高く、ディスクが高温に達しても性能が持続するのが特徴で、フェージングが生じにくいため、均一で高い制動力がゴールまで長続きします。ただし、ディスクが低温だと効果は低く、一般道の走行には不向きです。


愛車にZ04ブレーキパッド(および他のブレンボ製品)が使えるかどうかは、ブレンボ・モーターサイクル・ブレーキ・コンフィギュレータでチェックできます。

 

 

4) ブレーキにも影響するレースの土曜開催

                                            


土曜日に開催予定のレースが日曜日の午前10時半に変更になったため、チームはマシンの設定や調整をじっくり行うことができるようになり、その結果、ブレーキシステムの変更という選択肢が加わりました。そのうえ、選手は日曜の朝、15分間のウォームアップ走行を行って、マシンの調整具合をテストできます。前年は、第1レース後に調整を加えても、次のレースまで時間が短いためテストはできませんでした。

 
 

5) ブレーキにとってサーキットは千差万別

                                                  


選手がどのサーキットでも同じように力を発揮できないのと同様に、ブレーキシステムにも他より苦戦を強いられるサーキットがあります。ブレンボは、約30年にわたるスーパーバイク選手権の実績から、サーキット別にどんな苦労があったかを社内の技術者が検証して、今後見込まれる成績を算定しました。到達速度、カーブの形状や間隔、アスファルトのグリップ、予想平均温度など、検討が必要な項目が膨大なため、決して楽ではない作業です。最も手ごわいサーキットとしてあげたのは(レース時の天候や路面のラバーの状態といった予測不能な要素があるため仮定形でしか言えませんが)、チャーン・インターナショナル・サーキット(タイ)です。これと同程度に難しそうなサーキットは唯一モンツァ(イタリア)ですが、ここは2016年も開催されるかどうかは見通せない状況です。逆に最も得意なのはフィリップアイランド(オーストラリア)という結果が出ました。以下はブレーキシステムにとって困難が予想されるサーキットのランキング1位~10位です。


 


 


難易度10:チャーン、モンツァ


難易度9:セパン、ドニントン


難易度8:アラゴン、イモラ、マニクール


難易度7:ミサノ、ラグナ・セカ、ヘレス、ロサイル


難易度6:アッセン、ラウジッツリンク(ユーロスピードウェイ・ラウジッツ)


難易度5:フィリップアイランド


 

6) 完璧な制動にはホイールも肝心

                                                     
ブレンボは、ブレーキシステムの他にも軽合金素材のホイールの製造も行い、マルケジーニブランド製品として、レース用と公道用のホイールを供給しています。
鍛造マグネシウムを素材としたスーパーバイク用のマルケジーニホイールは、軽量性が抜群であるため、加速が向上し制動距離が短縮できます。この特色が評価されて、2016年シーズンではバイクメーカー6社、7チーム13名の選手が、マルケジーニホイールの採用を決定しています。