EICMAの人気スポーツ車が搭載するブレーキの最新情報

2016/11/30

 スズキGSX-R100用の新型ディスク、カワサキと共同開発した新コンパウンド、ホンダ用のディスクとキャリパー、ドゥカティへのトータルシステム供給

MotoGPやスーパーバイクレースで続くブレンボの快進撃ぶりに、走りの感動を極めたいライダーはもちろん、気軽に楽しみたい人にとってもアクセルのテンションがいっそう上がるはず。この先数か月で発売になる最新の人気車の購入を考えているファンならなおさらでしょう。


 
Stand EICMA  

発売間近の人気車を代表する4車種が先日のEICMA2016で発表されました。スズキGSX-R1000、カワサキZX 10-RR MY 2017、ホンダCBR1000RRファイアーブレードMY 2017、そしてドゥカティ パニガーレ アニべルサリオの4車種です。どれもブレーキシステムはもちろんブレンボです。

4車種ともパワーは抜群。ブレーキシステムにはそれに見合った強力さとどんな状況でも揺るがない信頼性が必要ですが、これらの車種に特化した今回のブレンボ製ブレーキは、高性能を維持しつつ非常に軽量に仕上げているのも特徴です。そのうえ車体の美観との調和も考慮した設計になっています。


 
Suzuki EICMA  

スズキGSX-R1000は、引き続きブレンボのM4.32ラジアルマウントキャリパーを採用しています。32mmピストン4ポット、108mmピッチのモノブロックキャリパーです。フロントには、320mm径×5mm厚のピン・アンド・バーディスクを組み合わせています。このディスクには5個のブッシングと5か所の取り付け面を設け、アキシャル方向の固定(ブッシングの役割)とトルク伝達(取り付け面の役割)とを分けています。こうした構造にすることで、ブッシングが少数で済み、その結果、温度によるディスクの変形リスクが減少し、ディスクの耐久性が向上します。

通常は両方の役割をブッシング(ピン)が担っていますが、負荷が極度に集中するためブレーキシステムのパーツの変形リスクが高まります。アキシャル方向の取り付け面(バー)、つまりブレーキ面の一部分をインナーローター側へ入り込ませる形状にしたことで、制動力がより均一にインナーローターへ伝わります。

この2種類のパーツを併用してバイク用に新たに製品化したピン・アンド・バーディスクは、フローティングディスクの長所を2方面で向上させたものです。ブレーキトルクの放散を向上させるとともに、ディスクの長期使用を可能にした革新的技術、それがピン・アンド・バーディスクなのです。


 

​新型CBR1000RRファイアーブレード(MY 2017)には、フロントにブレンボの30mm/32mmM4キャリパーを供給し、ホイールはマルケジーニの鍛造アルミニウム製7本スポークリムカラーホイールを使用しています。

Honda EICMA  

 

​カワサキの新型ZX-10RR (MY 2017) には、ブレンボの30mm4ポットM50モノブロックキャリパーに、同じくブレンボのステンレス・アルミ製320mm径ブレーキディスクを組み合わせました。ホイールはマルケジーニの鍛造アルミニウム製7本スポークリムカラーホイールを使用しています。またZX-10RRには、ブレンボはカワサキと協力してブレーキパッドコンパウンドBRM11Hを新たに共同開発しています。

Kawasaki EICMA  

 

ブレンボとドゥカティとの伝統ともいうべきパートナーシップは、今回の新型パニガーレ アニべルサリオでも発揮され、フロントとリアのホイール、ディスク、キャリパーのフルセットをブレンボが供給しています。