MotoGP 2018に臨むブレンボのブレーキ戦略:プレミアクラスのブレーキパーツに関する動向

2018/03/16

 ブレンボは、2018シーズンも引き続きMotoGPの全ライダーへブレーキを供給する一方、各ライダーへの個別対応も強化していきます。

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MotoGP参戦ライダーの100%がブレンボ製ブレーキを採用するシーズンとして3回目を迎えることになりました。ブレンボの提供するキャリパー、ディスク、マスターシリンダー、パッドの優れた性能と信頼性、安全性がライダーらに高く評価されている証です。

MotoGPは2002年の誕生以来、278戦が開催され、そのすべてでブレンボ製ブレーキ採用マシンが優勝を果たしています。ブレンボ製ブレーキパーツを使用していないマシンが500ccクラスで優勝したのは1995年が最後でしたので、プレミアクラスでの連勝がいかに長いかがわかります。

ブレンボはブレーキシステムのトップメーカーとして、すべてのライダーに最大限の性能と快適性、安全性を提供するためブレーキシステムの研究開発を続けています。また、ライダーの要望に沿ったソリューションの実績を生かして、ブレーキシステムの幅広いカスタマイズを通じて各チームのさまざまな要件を満たしていくことにも力を注いでいます。

 

2018シーズンは、各チーム・各ライダーが選択できる仕様のバリエーションをパーツレベルで充実させ、より幅の広いソリューションをプレミアクラスに提案していきます。これにより、各ライダーは、走行スタイルやサーキットの特性、レースの戦略に合わせてブレーキシステムを「カスタマイズ」することが可能になります。

2018シーズン用として、2種類のアルミニウムキャリパー(ライトデューティー/ヘビーデューティー)とカーボンパッド(高質量/標準)を準備しました。ブレーキディスクやマスターシリンダー、ホイールに関してはさらに数多くの種類を揃えています。

今季新たに加わるレギュレーションはなく、タイヤの条件も昨シーズンと同一であることから、ブレーキの挙動に関しても昨シーズンから大きくは変わらないものとブレンボのチーム担当エンジニアらは予測しています。

 

 

カーボンブレーキディスクは10通りのバリエーション

大半のライダーが使用するのは径340mmのディスクで、タイプは高質量と標準(低質量)に分かれます。ブレーキトルクを維持しつつ軽量化を実現するために、ブレンボは径340mmの軽量ディスクを開発しました。一方で、径320mmの標準タイプと高質量タイプのディスクを引き続き使用するチームもありそうです。

これらのブレーキディスクに対して、パッドも噛みの強さや耐熱性が異なる2種類を準備しました。 つまりライダーは、ブレーキディスクに関しては全部で10通りの選択肢が得られることになります。 昨年10月の日本GPで、大雨にも関わらずカーボンディスク使用のライダーが9着までを独占したという結果を受けて、ウェットコンディションでスチールディスクを選択しないライダーは今後増えてくるものと予想されます。

カーボンディスクには、足回りを軽くできること、スタートからゴールまで摩擦係数が変わらないこと、そしてスチールディスクでは心配な残留トルクの問題がないことという3つの利点があります。

 


 

​サムブレーキマスターシリンダーは2種類

ブレーキマスターシリンダーはチームごとにホイールベースに合わせて選択しますが、レースに適合すること、そしてコントロールの「反応性」がライダーのフィーリングにマッチすることが重要です。また、各マシンにはリモートアジャスターが搭載されていて、走行中でもブレーキレバーの位置を左手の操作で変えられる仕組みになっています。

ブレンボは、MotoGPの3分の1以上のライダーに対して、サムブレーキマスターシリンダーの本格的な使用にGOサインを出しています。これは90年代にミック・ドゥーハンのためにブレンボが新たに開発したソリューションで、ハンドルの左側に取り付けた専用のレバーを押してリアブレーキを操作するシステムです。

 

このサムブレーキマスターシリンダーについても、2018シーズン用に2タイプを用意しました。現在普及しているタイプは、サムブレーキマスターシリンダーとペダルが独立した1系統となっていて、2ピストンリアキャリパーとの組み合わせで使用します。
他方のタイプは系統が2つに分かれていて、リアキャリパーの4ピストンを2本ずつ動作させます。前者は他のシステムとは同時に使用できませんが、後者は併用が可能です。


マルケジーニホイールは3種類


今シーズンは、MotoGPの大半のライダーが使用するマルケジーニの鍛造マグネシウムホイールにも注目です。
7本スポークのマルケジーニホイールをフロント用とリア用に3種類揃えました。剛性より軽量性を重視したタイプ、逆に剛性を向上させた重量のあるタイプ、そしてその中間の3タイプです。
マルケジーニ(ブレンボのグループ会社)は、マシンの重量削減はもちろん、加速や方向転換のしやすさにも貢献するホイールです。​

 

 

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