バットマンも信頼を寄せるブレンボのブレーキ

2016/10/13

 超高速のスーパーヒーロー。強力なブレーキが欠かせません。だから「バットマンvsスーパーマン」の撮影に使用した車には、ブレンボの超高性能ブレーキシステムが使用されています。バットマンがブレンボと組めばどんな敵も逃がしません。

スーパーヒーローに欠かせない超高性能ブレーキシステム搭載のスーパーカー

『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』ほどの大作ともなると、バットモービルにも常識破りで斬新なデザインが求められました。構想は監督のザック・スナイダー、美術監督のケヴィン・イシオカ、劇用車デザイナーのジョー・ヒウラがそれぞれアイデアを持ち寄り、その実現化を託されたのがデニス・マッカーシーでした。


 
Close up on Batmobile  

マッカーシーの名前は観客にはあまり知られていませんが、チューニングマニアにとってはいわば神のような存在です。カリフォルニア州サンバレーにある彼のVehicle Effects社は、過去20年にわたり、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』や『バットマン ビギンズ』など、数多くのカーアクション映画で登場するスーパーカーのほとんどの改造や製作を手がけてきました。その多くでマッカーシーはブレンボのブレーキを採用しています。


 

インタビューで「ワイルド・スピード」の登場マシンにブレンボを選んだ理由を語るマッカーシー                                                                

 

 
 

 
Brembo Brakes Batman  


最新作のバットモービルでも、マッカーシーが選んだのはブレンボでした。入念なテストをカリフォルニア州の砂漠で長期間繰り返しました。製作はシングルシーターのみ3モデルで、驚くべきはその型破りのスペックです。全長は20フィート(6.10メートル)、車幅12フィート(3.66メートル)、重量は8,500ポンド(3.8トン)、最高速は時速205マイル(時速330km/h)という怪物マシンです。

タイヤに農業機械用のものを使用したため、車輪1つで500ポンド(227kg)の重量があります。タイヤの凹凸は滑らかにして、スーパーカーに完璧に合うフォルムに仕上げています。


 

こんな怪物マシンを減速させるのは至難の業で、ブルース・ウェインを演じるベン・アフレックにとってはなおさらです。ブレーキシステムには絶対の信頼性と確実な制御力はもちろん、シナリオが求めるドリフトやハンドルさばきをスタントマンが全部こなせる強靭さが必要でした。

だからこそ、デニス・マッカーシーは最新作でもブレンボを選択したのです。『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』のバットモービルには、ダブル仕様のブレンボのブレーキシステムを搭載しました。


 

​4トン近いバットモービルのブレーキにマッカーシーが選んだのは、ブレンボの6ピストンキャリパー。前輪と後輪にそれぞれ直径380mmのフローティングディスクを組み合わせています。技術とパフォーマンスレベルの高さが特徴のレーシングシリーズのパーツを使用した市場に前例のないシステム構成で、最先端のブレンボの技術力を最大限に発揮します。

ラジアルマウントの固定式キャリパーと大型ディスクを組み合わせることで、ブレーキトルクと熱容量を一段と向上させています。その結果得られるスピーディーでシャープな制動力は、公道走行でも実感できますが、映画のように何度もブレーキングを繰り返す場合にその力強さと持続性がいっそう際立ちます。

Close up Batmobile Brakes 

 

見せ場をより魅力的に演出するために必要だったのがドリフト専用の補助ブレーキで、8ピストンのモノブロックキャリパーを後輪に2つ追加しました。これらを加えたことで、ブルース・ウェインを演じるスタントマンは、ボタン操作ひとつで左右の後輪を止めることができます。ボタンを押すと空気作動式のブレーキマスターシリンダーが1,800psiのCO2タンクから空気圧を受けて動作し、左右の後輪に取り付けたブレンボの8ピストンキャリパー2個に作用する仕組みです。

本質的には走行中にサイドブレーキを引くことと似ていますが、このシステムを考案した背景には、通常ではしないようなサイドブレーキの使い方でパフォーマンスが下がってしまうのを避けつつ撮影中に繰り返しブレーキ操作ができるようにしたいというねらいがありました。


 

バットモービルとブレンボのブレーキシステムの詳細は、こちらの動画で紹介しています。

ゴッサムシティでのドリフトはかつてないクールな仕上がりです。