ブレンボが分析するバーレーンGP

2016/04/02

 サヒールサーキットでF1のブレーキがどう使われるかを詳細解析

2016年F1第2戦が4月1日~3日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催されます。

        
中東にあるこのサーキットは、ブレーキシステムのあらゆる部品にとって非常にタフなテストベンチといえます。ブレーキシステムへの負荷が特に大きい世界選手権レースは6つありますが、このサーキットもそのひとつに数えられます。設計はヘルマン・ティルケで、首都マナーマからおよそ12km離れた砂漠地帯の中にあります。レースは夜間に開催されますが、気温は非常に高く、昨年の場合、アスファルトの温度はレース中28.8度を下回ることはありませんでした。こうした気候条件がメカニカルグリップを上昇させ、ブレーキング時の熱交換を難しくしています。そのうえ強いブレーキングを要する箇所が多く、しかも短い間隔で続くため、摩擦材の摩耗が大幅に進みます。完走にはなんとしても回避したい最大のリスクです。

        
ブレンボの技術者が、21か所ある開催サーキットを1~10段階で評価したところ、バーレーン・インターナショナル・サーキットは最も厳しいランクに分類されました。難易度は9で、これと同じランクのサーキットは最近設けられたシンガポールやバクーですが、バクーではレースはまだ開催されていません。             


 

レース中のブレーキの使われ方

                                 

ブレーキに要する時間はレース全体の20%で、グランプリの平均と比べると若干高めです。減速Gは平均で4.1Gと明らかに他のサーキットより大きく、世界選手権でこれを上回る開催地はほとんどありません。減速時のエネルギーの放散については、バーレーン・インターナショナル・サーキットの場合、エネルギーを“大量消費”するサーキットの中ではほぼ中程度で、ブレーキの作動によってマシンから放出されるエネルギーの量は、バーレーンGP全体で平均約131 kWh。これはオースティンやソチと非常に近い値です。また、ドライバーはレース中約450回ものブレーキ操作が必要で、ペダルを踏む力の総量は56トンを超えます。この数値もかなり高いですが、開幕戦のオーストラリアGPでは同じブレーキ回数で64トンを記録しました。
 

/><span id='ms-rterangeselectionplaceholder-end'></span>  </div>           <div class=
 

最も厳しいブレーキングポイント

                                                                           
バーレーン・インターナショナル・サーキットにある8か所のブレーキングポイントのうち、半数の4か所が難易度高のランク、残り4か所が難易度中のランクです。


難易度高の4か所は、いずれも4.4Gを超える減速Gがかかる場所で、進入時は時速300km近くまで達しています。最難関は「シューマッハ」の名前がついた第1コーナーで、進入時のスピードはおよそ時速330km、減速G は5.2Gまで上がります。必要な制動力は2,200 kWを超えますが、ブレーキの作動時間(1.76秒)も重要で、シリーズ全体で最も高いレベルです。


ブレーキの難易度が中程度のブレーキングポイントは、4か所すべてがコース中盤のインフィールドセクションで連続していますが、途中に難易度高の第11コーナーがあり、そこではブレーキペダルに143kgもの力がかかります。


 

 
 

 

ブレンボの優勝数

                                                                          
ブレンボは、バーレーンでこれまでに開催された11レースのうち9レースで優勝し、現在8連勝中です。ブレンボ製ブレーキ採用のチームで最も数多くサヒールでの優勝を果たしているのはフェラーリです。ブレンボ製ブレーキ搭載のマシンで1勝以上したドライバーは6名、そのうち5名は現役です。さて今回は彼らの番となるでしょうか。